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2004/06/05

パウロ・コエーリョの言葉 #003 幸福の秘密

    ある店の主人が、世界で最も賢い男から幸福の秘密を学んでくるようにと、 息子を旅に出した。その若者は砂漠を四十日間歩きまわり、 ついに山の頂上にある美しい城に行きついた。 賢者が住んでいたのはそこだった。

    しかし、この若者はすぐに賢者に会えたわけではなく、 城の一番大きな部屋に入ってゆくと、 そこでは、さまざまな人が忙しそうに働いているのを見た。 貿易商人たちが行ったり来たりしていた。隅の方では、 人々が立ち話をしていた。小さなオーケストラが、軽やかに音楽を奏でていた。 テーブルには、その地方で一番おいしい食べ物を盛りつけた皿が、 いっぱい並べられていた。賢者は一人ひとり、すべての人と話していたので、 少年は二時間待って、やっと自分の番がきて、賢者の注意をひくことができた。

    賢者は注意深く、少年がなぜ来たか説明するのを聞いていたが、 今、幸福の秘密を説明する時間はないと、彼に言った。そして少年に、 宮殿をあちこち見てまわり、二時間したら戻ってくるようにと言った。 『その間、君にしてもらいたいことがある』と、 二滴の油が入ったティースプーンを少年に渡しながら、賢者は言った。 『歩きまわる間、このスプーンの油をこぼさないように持っていなさい。』

    少年は宮殿の階段を登ったり降りたりし始めたが、 いつも目はスプーンに釘づけだった。二時間後、彼は賢者のいる場所に戻ってきた。 『さて、わしの食堂の壁に掛けてあったペルシャ製のつづれにしきを見たかね。 庭師のかしらが十年かけて作った庭園を見たかね。 わしの図書館にあった美しい牛皮紙に気がついたかね?』と賢者がたずねた。

    少年は当惑して、『実は何も見ませんでした』と告白した。 彼のたった一つの関心事は、賢者が彼に託した油をこぼさないことだった。 『では戻って、わしの世界のすばらしさを見てくるがよい。 彼の家を知らずに、その人を信用してはならない』と賢者は言った。

    少年はほっとして、スプーンを持って、宮殿を探索しに戻った。 今度は、天井や壁にかざられたすべての芸術品を鑑賞した。 庭園、まわりの山々、花の美しさを見て、その趣味の良さも味わった。 賢者のところへ戻ると、彼は自分の見たことをくわしく話した。 『しかし、わしがおまえにあずけた油はどこにあるのかね?』と賢者が聞いた。 少年が持っていたスプーンを見ると、油はどこかへ消えてなくなっていた。 『では、たった一つだけ教えてあげよう』とその世界で一番賢い男は言った。 『幸福の秘密とは、世界のすばらしさを味わい、 しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ』


「アルケミスト」 パウロ・コエーリョ 著

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コメント

はじめまして。
パウロさんのTWITTERを日本語に翻訳している者です。
パウロさんの言葉を紹介していただいて、ありがとうございます。
パウロさんにもここのブログを紹介して、見てもらいました。
今、ここの「言葉コレクション」は休止中との事ですが、また再開を期待しております。
ここを見ていただいている方々是非PauloCoelhoJpnのツイッターもフォローをお願いします。
http://twitter.com/#!/PauloCoelhoJpn

パウロさん当人による名言集も日々毎日こちらで更新しています。

投稿: クレーン ケン | 2010/10/03 13:36

クレーン ケンさん
コメントありがとうございます。
パウロさんにご紹介いただいたなんてビックリです。
まさかそんなことになるとは!

PauloCoelhoJpnは先ほどフォローしました。
当ブログは休止中ですが、素敵な言葉に出会えたら、
不定期で更新したいと思います。

投稿: tsune | 2010/10/08 00:53

tsuneさん

フォローありがとうございます。
こちらのページで紹介している名言もツイッターに紹介させていただきます。

ありがとうございます!

投稿: クレーン ケン | 2010/11/04 23:52

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